商標判例読解55 「豊岡柳」事件(地域団体商標「豊岡杞柳細工」と出所混同のおそれ)
業務分野:商標
カテゴリー:判例
著者など | 中田 和博 ユアサハラ法律特許事務所/商標判例研究会 |
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業務分野 | 商標 |
出版日 | 平成30年2月15日号 |
掲載誌・出版物 | 特許ニュースNo.14628 |
出版社 | 一般財団法人 経済産業調査会 |
概要
当事務所・商標判例研究会による連載「商標判例読解」の第55回
事件番号:平成29年(行ケ)第10094号
裁判所:知財高裁第4部
判決日:平成29年10月24日
下記のような認定の下、かばん等を指定商品とする「豊岡柳」及び「Toyooka」の文字と図形的要素からなる本件登録商標が、類似商品を指定商品とする地域団体商標「豊岡杞柳細工」に類似し、被告による宣伝広告の態様などに鑑みて出所の混同を生ずるおそれがあるとして、商標法4条1項11号、第15号などいずれにも該当しないとして無効審判の請求を棄却した審決が取り消された。
①本件商標は、外観や称呼において引用商標と相違するものの、豊岡市で生産された柳細工を施した製品という観念も生じ得るものであり、かかる観念は、引用商標の観念と類似すること、
②引用商標は、独創性が高いとはいえないものの、引用商標を付した原告商品は、原告の業務を示すものとして周知性を有しており、伝統的工芸品の指定を受け、引用商標が地域団体商標として登録されていること、
③本件商標の指定商品は、原告商品と同一又は密接な関連性を有するもので、原告商品と取引者及び需要者が共通すること、その他被告の本件商標の使用態様及び需要者の注意力等を総合的に考慮すれば、
本件商標を指定商品に使用した場合は、これに接した取引者及び需要者に対し、原告の業務に係る「豊岡杞柳細工」の表示を連想させて、当該商品が原告の構成員又は原告との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され、商品の出所につき誤認を生じさせるとともに、地域団体商標を取得し通商産業大臣から伝統的工芸品に指定された原告の表示の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねない。
そうすると、本件商標は、商標法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たると解するのが相当である。
(なお、本件については、上告受理申立が係属中の模様である。)
なお、記事の全文は「特許ニュース」No. 14628(平成30年2月15日号)をご覧ください。
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