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インドネシア特許法改正(施行日2016年8月28日)

外国特許情報委員会

今回の特許法改正は広範に亘る。特に、年金支払のシステムが大きく変わり、継続しなくなった特許の年金支払の義務がなくなった点で権利者にとって好適なものとなった。その一方で、手続き期間の延期が原則3ヶ月までしか認められなくなり、第二用途クレームが認められなくなるという出願人にとって厳しい規定も含まれている。

I. 年金支払システムの改正

・年金支払が後払いから先払いに変更された。
・継続しなくなった特許の年金支払の義務がなくなった。

1. 2016年8月26日以降に特許が付与され、権利期間を有する特許出願に関しては、その出願日から特許を付与された年までの累積分に、翌年分の年金を加えて、改正法にもとづいて、grant date (date of patent certificates issued:特許証発行日)から6ヶ月以内に払わなければならない。それ以降の(特許)年金の支払いは、次年度の権利期間の開始日(出願月日と同じ)の1ヶ月前までに支払わなければならない。

2. 改正法に明確に規定されているように、決められた期限までに年金の支払いがない場合、特許は放棄されたものとみなされる。

3. 2016年8月25日以前に特許が付与されたケースの年金の支払い期限は以下の通り。
3.1. 未払いの年金の支払い期限が2016年8月26日以降である全ての特許に対する年金支払期限の計算は改正法にもとづいてなされる。ただし、支払期日が2016年8月26日から2016年12月30日までの特許(2016年から2017年までの支払い期日を前倒して支払う場合を含む)に関しては、暫定措置として、2016年12月30日までその支払いを猶予する。
3.2. 未払いの年金の支払い期限が2016年8月25日以前であった特許については、支払期限は、2016年分および2017年分が改正法にもとづく再計算の対象となる。前倒し分の支払いは2016年12月30日以前になされなければならない。
3.3. 未払いの年金の支払期限が2016年8月25日以前であって既に失効している特許(void patent)については、追納による割増分を含み、期限は旧法にもとづいて計算される。

II. その他の主な改正(2016年8月26日以降の出願に適用)

・手続き期間の延期が法定化された。
・第二用途/第二医薬用途クレームが禁止された。
・コンピュータ関連発明にも特許適格性が認められた。
・特許審判委員会の審理範囲が拡大され、付与後異議の申立が認められた。
・付与後の誤記の訂正が認められた。

1. 手続きの迅速化を狙った電子化システムの導入および手続期間の法定化

1.1 インターネットを介したオンライン出願が可能。
1.2 手続き期間の延期が法定化された。
指令に対する応答期間は3ヶ月。指令応答に対する一回目の延期期間は2ヶ月。延期料を払えば二回目の延期期間として1ヶ月。暴動、政変あるいは天変地異等の非常事態が発生し、その非常事態が証明された場合のみ、さらに延期が認められる。

2. ベストモード

明細書中には発明のベストモードを記載しなければならない。クレームは発明の主題を常にかつ明瞭に開示しなければならず、明細書の記載によってサポートされなければならない。

3. 権利者の陳述

出願時、発明の権利者に関する出願人署名の陳述書(Statement of Ownership)の提出が求められる。

4. 遺伝資源および/または伝統的知識の起源の明示の義務化

遺伝資源および伝統的知識の起源を明細書に記載しなければならない。

5. 第二用途/第二医薬用途クレームの禁止

第二用途および第二医薬用途クレームは今後認めない。

6. コンピュータ関連発明に特許適格性

特許対象から排除されるものが“Rules and methods related to computer programs”から”Rules and methods that only comprise computer programs”へと変更された。
コンピュータプログラムのみでなければ特許される可能性がある。

7. 特許審判委員会の審理の拡大および第三者による付与後異議の申立て

7.1 特許審判委員会(Patent Appeal Commission)は、従前は拒絶された出願の審判請求の審理のみを行っていたが、改正により、以下の審判の請求を受理し、審理し、決定する。
a. 拒絶された出願(拒絶通知の発送日から3ヶ月以内に審判請求)
b. 特許付与後の明細書、クレームおよび図面の訂正(許可通知の発送日から3ヶ月以内に審判請求)
c.特許付与後の異議申立てに対する維持決定(許可通知の日から9ヶ月以内に審判請求)
7.2 付与前異議に加えて、付与後異議の申立てが可能となった。

8. 特許付与後の誤記の訂正

明細書中の誤記の訂正が認められる。訂正の請求は許可通知の日から3ヶ月以内になされなければならない。

9. 簡易特許の保護範囲をプロセスまで拡張

簡易特許(小特許あるいは実用新案のこと)は、プロダクトの保護に加えて、新たなプロセスあるいは既存のプロセスの改良も保護する。

10. 並行輸入の免責、およびボーラー(Bolar)免責期間の延長

以下の行為は特許権侵害行為から除外する。
10.1インドネシアで特許された医薬品であって、特許権者の許可なく他国で合法的に販売された医薬品を輸入する行為。
国内での医薬品の価格が同一品の国際市場でのそれに比して非常に高額な場合に、この条項が行使される。
10.2インドネシアで特許された医薬品をその特許期間満了前の5年以内に、期間満了後のライセンスあるいは販売するために製造する行為(すなわち、ボーラー(Bolar)免責)。
この改正が適用されるには、Badan Pengawasan Obat dan Makanan (BPOM)(Indonesia’s National Agency of Drug and Food Control) の規定が「5年以内」と整合するように改正する必要がある。BPOM規定が改正されるまでは、この改正は機能しない。

11. 職務発明の変更

従業者は、「発明から得られた経済的利益を考慮して、(使用者と従業者との間の)同意に基づいた補償金」を受け取る権利を有する。以前は、『発明から得られた経済的利益を考慮して、公平な(fair)補償金』となっていた。

12. 継続的な発明の実施要求

特許権者は、インドネシアで特許に係るプロダクトの製造あるいは方法の使用をしなければならない。さらに、その製造あるいは方法の使用は技術移転を支援し、投資を呼び込み、および/または雇用を促進しなければならない。
従わない場合は、特許は無効とされる場合がある。(第132条(1)e)この理由の無効を請求できるのは検察当局あるいは国益を代表するものまたは強制実施権者である。

13. 強制実施権

以下の行為に強制実施権を与える。
13.1インドネシアで特許された医薬品がインドネシアで製造されていない場合、風土病疾患治療目的で当該医薬品をインドネシア政府が輸入調達する。
13.2開発国あるいは後発開発国が、インドネシアで風土病治療目的で特許された医薬品を要求した場合、当該医薬品をインドネシアで製造し、要求をした開発国あるいは後発開発国に輸出する。

14. 特許権侵害者に対する厳罰化

特許権侵害に対する制裁金は、特許の場合は10億ルピア(およそUS$76,000)、簡易特許の場合は5億ルピア(およそUS$38,000)と、それぞれ改正前の2倍に引き上げられた。
健康被害や環境破壊を引き起した特許権侵害者には、7年以下の懲役および/または最高20億ルピアの罰金が科せられる。
死をもたらした場合は、10年以下の懲役および/または最高35億ルピアの罰金が科せられる。

 

執筆者

特許部

外国特許情報委員会

[業務分野]

特許

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