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中国:第4次専利法改正に伴う実施細則・審査指南改正(2024年1月20日施行)

外国特許情報委員会

2021年6月1日に施行された第4次改正専利法に伴い改正された実施細則(細則)と審査指南が公表された。
改正部分は多岐にわたるが、特許の通常実務に関係する改正点を紹介する。

1.存続期間の延長
2021 年6月の専利法改正により、特許期間調整制度(PTA)と薬品特許の存続期間延長制度(PTE)が定められたが、実施細則の改正が遅れ、暫定措置がとられていた。
すでに提出されているPTAおよびPTEの請求については、2024年1月20日以降に、改定改正細則および改正審査指南に基づいて審査がおこなわれる。

1.1 特許期間調整制度(PTA)(専利法第42条第2項、細則第77-79,84条、審査指南第5部第9章2.1-2.3)
<適用対象>
2021年6月1日以降に登録公告された特許
<延長期間の計算方法>
延長期間=「特許公告日」―「出願日から4年と審査請求日から3年の遅い方の日」-「合理的な遅延」-「出願人に起因する遅延」
・出願日とは、国際出願の場合は国内段階移行日であり、分割出願の場合は分割出願提出日である。
・「合理的な遅延」とは、不服審判手続きや手続き中断など。
・「出願人に起因する遅延」とは、指定期限内に庁通知に応答しない、遅延審査を請求した、権利回復ケースなど。
<手続き>
特許権者が、特許権登録公告後3か月以内に、国務院特許行政部門に特許期間調整(補填)の請求を提出する。

1.2 医薬品販売承認に伴う存続期間の延長(PTE)(専利法第42条第3項、実施細則第80-84条、審査指南第5部第9章3.1-3.8)
<適用対象>
2021年6月1日以降に販売承認された新薬に関係する特許
<「新薬に関係する発明特許」の定義>
新薬は、革新的新薬と改良型新薬に分類される。新薬に関する物の特許、製造方法の特許または医薬用途特許が対象になる。
改良型新薬については、審査指南第5部第9章3.4「適用範囲」を参照の事。
<延長期間の計算方法>
延長期間=(新薬が中国で販売許可を得た日)‐(特許出願日)‐5年
ただし、延長期間は最長5年であり、新薬の販売認可後の特許権の存続期間の合計は最長14年である。
<手続き>
特許権者が新薬の販売許可を得た日から3か月以内に国務院特許行政部門に薬品特許存続期間延長の請求を関連書類とともに提出する。
・新薬が複数の特許に関係する場合、その中の1つの特許に対してのみ存続期間の延長を請求できる。
・特許が複数の新薬に関係する場合、その中の1つの新薬に対してのみ存続期間の延長を請求できる。
・特許期間調整の補償を受けていないこと。
<注意情報>
「中国の医薬品登録に関する関連規定(NMPA(National Medical Products Administration)’s drug registration classification)によると、新薬はいずれも「世界新(global new)」基準を採用しており、これは問題の医薬品が以前に中国でも海外でも販売されていないことを意味する。中国での医薬品販売申請の前にすでに海外で販売されている医薬品は、PTE の対象にはならない。
中国特許庁のセミナーで公表された解釈であり、改正実施細則や改正審査指南には明示されていないが、複数の中国代理人から情報が入っている。

2.優先権の回復、追加・訂正(細則第36,37, 128条)
2.1 優先権回復制度(細則36,128条)
優先期間満了日から2か月以内の出願であれば、正当な理由がある場合、優先権回復の請求ができるようになる。
2024年1月20日以降の出願、および中国に移行したPCT出願であって移行日から2か月が2024年1月20日以降の出願に適用される。
2.2 優先権追加・訂正制度(細則37条)
最先の優先日から16か月以内または出願日から4か月以内に、優先権情報の追加または訂正を請求できるようになる。
すでに優先権主張を行っている場合は、2024年1月20日以降に優先権情報の追加または訂正が可能である。

3.その他
(1)復審請求期限を徒過した場合に、復審請求期限から2か月以内であれば回復が可能に(細則第6条)
(2)電子送付書類の期限計算における15日間ルールの廃止(細則第4条)
(3)明細書において、「優先権基礎出願番号を引用により補充」と記載することにより、基礎出願の内容に基づき、明細書の補充や修正が可能に(細則第45条)
(4)開放許諾(オープンライセンス)制度の声明記載事項明文化(細則第85-88条)

 

執筆者

特許部

外国特許情報委員会

[業務分野]

特許

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