ロシア: カスケード分割出願についての新たな制限(2023年10月6日判決)
地域:ロシア
業務分野:特許、意匠
カテゴリー:判例
外国特許情報委員会
事件: KRKA対vs.アストラゼネカ(IPC-570/2022)
判決: ロシア知的財産裁判所(IPC)の幹部会(Presidium)(*1)は、すでに特許として登録されている最先の出願からのカスケード分割出願(*2)は、最先の出願の優先日を享受できない、と判決した。
(*1) 幹部会:法律の解釈指針を定める機関であり、その決定は重要である。
(*2) カスケード分割出願:最先の出願の孫出願やひ孫出願
1.概要
本事件では、カスケード分割出願の優先日が争点となり、ロシア連邦民法第1381条(4)の定める分割出願に関する条文の解釈が問題となった。条文中のinitial applicationは、分割出願の直前の親出願ではなく、最先の出願である、と結論付けられた。これは、今までの運用とは異なる解釈である。
したがって、分割出願が最先の出願の優先日を享受できるのは、分割出願の提出日に以下の条件を満たす場合である。
a. 最先の出願が取り下げられていない。
b.最先の出願が取り下げられていないと考えられる。
c.最先の出願が拒絶されたが、審判請求できる状態にあり、その期限が満了していない。
d.最先の出願の特許/実用新案/意匠登録がまだ行われていない。
2.今後の見通し
本事件は最高裁に上訴されたが、異なる判決が下されない限り、上述のルールはすべてのカスケード分割出願に適用されるようになる。
カスケード分割出願の予定がある場合、最先の出願が係属しているうちに提出をすることが求められる。
執筆者
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