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豪州高等裁判所、ミリアド社のBRCA1遺伝子特許を無効と判断

山本 修弁理士、外国特許情報委員会

オーストラリア高等裁判所(The High Court of Australia:オーストラリアにおける最上級裁判所)は、7人の判事全員一致で、ミリアド・ジェネティクス(Myriad Genetics)社がオーストラリアで取得したBRCA1遺伝子の特許を無効とする判決を下した。2014年に、オーストラリア連邦裁判所(The Federal Court of Australia)は「単離天然遺伝子断片は特許の対象である」という判断を下していたが、最上級裁判所がそれを覆した。

本事件は、乳癌と卵巣癌サバイバーであるイボンヌ•ダーシー(Yvonne D’Arcy)さんや癌患者支援団体(Cancer Voices Australia)が起こした裁判で、米国に続いてオーストラリアでも単離天然遺伝子断片は特許対象ではないとの判断が示されたことになり、医療・製薬分野に与える影響は非常に大きい。

オーストラリアにおける特許対象であるか否かの基準は、National Research Development Corporation v Commissioner of Patents (1959) 102 CLR 252 高等裁判所判決がランドマークとなっており、「経済的意義を有する人工的なもの」(an artificially created state of affairs having economic significance)であるか否かで判断される。今回のミリアド判決では、単離天然遺伝子断片に関する発明は、「核酸配列に組み込まれた情報がその本質であり、その情報はヒトにより作られたものではない」との原告の主張が認められ、単離天然遺伝子断片はan artificially created state of affairsではないと判断された。

米国では2013年6月に、「米国特許法第101 条の特許対象について、自然界に存在するDNA 断片は天然物であって、単離したというだけでは保護適格性を有しない」との連邦最高裁判決が出された。単離されただけでは特許適格性を有しないと判示する一方で、cDNA(相補的DNA)は自然に生じるものではないので特許適格性を有すると判断された。しかし、今回のオーストラリアミリアド判決では、「核酸配列に組み込まれた情報がその本質であり、その情報はヒトにより作られたものではない」と判断されてしまったことから、米国連邦最高裁判決よりも厳しいものといえる。

本判決は、本質的にゲノム情報に関連するものだけに適用されるのか、アプタマーやリボザイムなどの作用を有する核酸にも適用されてしまうのかは明らかではない。遺伝子以外の単離天然物はどうであろうか。いずれにせよ、特許実務に非常に大きな影響を与える判決である。

執筆者

特許部化学班 チーフパートナー 弁理士

山本 修 やまもと おさむ

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