韓国:特許料の未納により消滅した特許権の回復要件を緩和(公布後6か月で施行予定)
地域:韓国
業務分野:特許
カテゴリー:法令
韓国知識財産処(MOIP)は、特許料の未納により消滅した特許権の回復要件を緩和する特許法改正案が、2026年8月20日に韓国国会本会議で可決されたと発表した。
同様の趣旨の実用新案法およびデザイン保護法の改正案もあわせて可決された。
改正法は公布後6か月で施行される予定であり、施行後に追納期間又は補填期間が満了する案件から適用される。
1.改正の背景
韓国特許法では、期限までに特許料を納付できなかった場合でも、6か月の追納期間内であれば追納することができる(第81条)。
また、特許料の一部が未納の場合には補填命令が発せられ、補填命令後1か月以内に未納分を補填することができる(第81条の2)。
これらの期間内に納付又は補填が行われない場合は、特許出願は放棄されたものとみなされ、又は特許権は消滅したものとみなされる(第81条第3項)。
改正前の韓国特許法第81条の3では、特許料が期限までに納付又は補填されず、特許出願が放棄されたものとみなされ、又は特許権が消滅したものとみなされた場合であっても、「正当な事由」がある場合に限り、特許出願又は特許権の回復が認められていた。
しかし、実務上、「正当な事由」の適用は厳格であり、新型コロナウイルス感染症に伴う隔離措置や特許庁のシステムエラー等の例外的な場合に限られていた。
その結果、過去約4年間では、「正当な事由」が認められて権利回復に至ったのは全申請の15.6%にとどまり、十分な救済が図られていなかった。
このような状況を踏まえ、特許料の納付漏れによる権利喪失の救済範囲を拡大し、単純なミスによる権利の喪失を防止することを目的として、本改正が行われた。
2.新条文
改正第81条の3(要旨)
特許料の未納又は補填期間内に補填しなかったことにより特許出願が放棄され、又は特許権が消滅した場合であっても、故意によるものでない場合には、追納期間の満了日又は補填期間の満了日のうち、いずれか遅い日から1年以内に総理令で定める金額を納付して、特許出願又は特許権の回復を申請することができる。
3.改正のポイント
(1)回復要件:「正当な事由」から「故意によるものでない場合」へ緩和
(2)回復申請期間:「正当な事由が消滅した日から2か月以内」から「追納期間の満了日又は補填期間の満了日のうち、いずれか遅い日から1年以内」へと延長
(3)納付すべき金額:「未納額」から「総理令で定める金額」へ変更(具体的な金額は今後定められる予定)
(4)回復手続の一元化:改正前の権利回復の手続は、
(i) 「正当な事由」を要件とする回復制度(追納期間の満了日又は補填期間の満了日のうち遅い日から1年以内に回復を申請可能)(第81条の3第1項)と、
(ii) 2倍の特許料の納付を要件とする回復制度(追納期間の満了日又は補填期間の満了日から3か月以内に回復を申請可能)(第81条の3第3項)
の2つが併存していたが、今回の改正により回復要件が「正当な事由」から「故意によるものでない場合」へ緩和されたことに伴い、その必要性が低下した第81条の3第3項を削除し、回復手続を一元化
(5) 回復制度の整理:補填期間経過後は、補填制度ではなく、回復制度の対象とすることとし、関連規定を整備(第81条の3、第87条)
今回の改正により、「故意によるものでない」不納付であれば回復が認められるため、権利回復の対象が大きく広がり、救済の拡充が期待されている。
また、米国や日本などの国際基準との整合性の向上及び韓国特許制度の信頼性向上も期待されている。
MOIPは、本改正を、2029年のPLT(Patent Law Treaty)加盟に向けた制度改革の第一歩として位置付けており、今後、優先権主張期間(12か月)経過後の優先権回復制度の導入など、PLT加盟に必要な規制改革を順次進め、下位法令の整備や情報システムの改修を行い、2029年までにPLTへ加盟する予定である。
執筆者
特許部
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