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商標早期審査・早期審理に関する運用の変更(平成29年2月開始)

商標意匠部弁理士 青島 恵美

  1. 早期審査・早期審理の概要

特許庁では、平成9年9月より商標登録出願に関する早期審査制度・早期審理制度を導入しています(新しいタイプの商標については、早期審査の対象外となります。)。
早期審査又は早期審理の申請を行い、担当審査官(又は担当審判官)が早期 審査・早期審理の要件を満たしていると判断した場合、以下のように通常の審査・審理期間より短い期間で、審査・審理がされます。
キャプチャ

※1  出願から登録査定又は最初の拒絶理由通知書が発送されるまでの期間
※2 拒絶査定不服審判の請求から審決が発送されるまでの期間
※3 早期審査の申請から登録査定又は最初の拒絶理由通知書が発送されるまでの期間
※4 早期審理の申請から拒絶査定不服審判に関する審決が発送されるまでの期間
(いずれも「特許庁行政年次報告書2016年版〈統計・資料編〉」掲載の2015年のデータに基づきます。)

2. 今回の改正点

早期審査・早期審理が認められるには、原則として、(要件1) 出願商標を指定商品・指定役務に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、(要件2)権利化について緊急性を要する出願であること(緊急性の要件)が必要とされています。
平成29年2月より、(要件2)の緊急性の要件がさらに緩和されることとなり、「出願人が、出願商標を基礎出願として、マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願を行う場合」も緊急性の要件を満たす場合として認められました。また、同様の理由から「商標施行規則別表や類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみを指定する出願」については、緊急性の要件が不要とされました。

したがいまして、平成29年2月より、以下(1)~(3)のいずれかを満たす場合、早期審査・早期審理の対象となります(赤字の部分が今回追加点となります。)。

(1)(要件1)出願商標を指定商品・指定役務に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、(要件2)権利化について緊急性を要する出願

要件1:出願商標を指定商品・指定役務のいずれかについて使用しているか、使用の準備を相当程度進めていること、及び

要件2:権利化について緊急性を要すること。
「権利化について緊急性を要する出願」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
a)第三者が、出願商標又は出願商標に類似する商標を、出願人若しくはライセンシーの使用若しくは使用の準備に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用しているか又は使用の準備を相当程度進めていることが明らかな場合。
b)出願商標の使用について、第三者から警告を受けている場合。
c)出願商標について第三者からライセンスを求められている場合。
d)出願商標について、出願人が外国の特許庁又は政府間機関へも出願している場合。
e)出願人が、出願商標を基礎出願として、マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願を行う場合。

(2)出願商標を既に使用している商品・役務又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務のみを指定している出願

(3)(要件1)出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務に既に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、(要件2)商標施行規則別表や類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願

要件1:出願商標を指定商品・指定役務のいずれかについて使用しているか、使用の準備を相当程度進めていること、及び

要件2:指定商品・指定役務に、以下のa)~c)に掲載されている商品・役務のみが記載されていること。

a)商標法施行規則 別表(第六条関係)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03801000013.html
b)類似商品・役務審査基準
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun10.htm
c)商品・サービス国際分類表(ニース分類)https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/kokusai_bunrui.htm

詳細につきましては、以下のウェブサイトをご覧ください。

http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/shkouhou.htm
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/pdf/tt1208-023guide.pdf

(以上)

執筆者

商標意匠部アソシエイト 弁理士

青島 恵美 あおしま えみ

[業務分野]

意匠 商標

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