英国: 改正商標法
地域:イギリス
業務分野:商標
カテゴリー:法令
黒田 亮弁理士
英国商標法が改正され、2004年5月5日施行された。この改正は、異議申立手続きをCTM(欧州共同体商標)のものと調和させる趣旨である。
改正の概要は以下のとおりである。
1.クーリングオフ(“Cooling-off”)手続き
クーリングオフ手続き(異議申立に係る両当事者が和解によって異議申立を解決する手続き)が認められる期間は、旧法下では3ヶ月+延長による3ヶ月の計6ヶ月であったが、改正法では延長なしの12ヶ月となった。クーリングオフ手続きは当事者のいずれか一方から請求することができ、他方の同意がなければ認められない。請求は、出願人の答弁書提出期間内に行ない、料金を要しない。
2.予備的な見解表明(“Preliminary Indication”)の手続き
異議申立の理由が、出願商標が先願又は先登録の商標に抵触するというものである場合、商標庁はこの主張が認められるか否かの予備的な見解を表明する。いずれか一方の当事者がこの見解の表明から1ヶ月以内に異論を唱えた場合には、当該異議申立は従前と同様の実体的な審理手続きに移行する。この場合、異議決定は当該見解を表明した登録官(“HearingOfficer”)とは別の登録官によって出される。いずれの当事者もこの見解に異論を唱えなかった場合には、見解どおりの異議決定が出され、異議申立は終了する。
この予備的な見解表明の手続きを導入することによって、明らかな異議申立理由に係る実体審理が減るものと期待される。
3.異議申立の基礎となる先登録商標の使用
異議申立が、英国登録商標又は登録CTMであって登録後5年を経過したものとの抵触を理由とする場合には、異議申立の際に、これらの登録商標が異議申立に係る商標の公告日前5年以内にどの指定商品/サービスについて使用されているかを陳述しなければならない。もし使用されている商品等が登録指定商品等より狭い場合、登録官は使用されている商品等のみを基礎として異議決定を行なう。また、出願人及び第三者は、不使用の商品等について部分的な取消請求を行なう可能性が残ることになる。
尚、かかる使用の要求は、商標登録無効請求手続きにおいても同様に導入された。
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