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EPO: 分割出願における問題

中濱 明子弁理士

3つの審決(T39/03、T1409/05、T1040/04)において分割出願についての問題が提起され、拡大審判部(それぞれ G1/05、G1/06、G3/06)に付託されている。これらの 3つの審判は併合して審理されることになっている。

2006年 9月 1日付けの EPO通達により、拡大審判部の審決が出るまで、(ⅰ)少なくとも 1の当事者により審査または審理の中止が明示的に請求され、且つ (ⅱ)審査部または異議部の見解において、審査または異議申立の結論が完全に拡大審判部の審決に依存する場合、という条件を満たすケースについて、審査または異議申立の審理が中断される。

T39/ 03においては、分割出願時に親出願の内容を超えるものを含んでいた場合に後の補正で有効な分割出願とできるか、という問題が提起された。具体的には次の通り:
① 実際の出願日において先行する出願(親出願)の内容を超えていたために EPC76条.の要件を満たさない分割出願について、有効な分割出願とするために後に補正をすることができるか。
② 上記①の答えが yesであるとして、親出願がすでに係属中でない場合でも可能か。
③ 上記②の答えが yesであるとして、この可能性に対し、EPC76条.および 123条.に基いて課せられる要件以上のさらに実質的な制限があるか。特に、親出願に示されているが分割出願を行った時点で示されていた側面には包含されない事項を、補正された分割出願の対象とすることができるのか。

T1409/ 05においては、連続する分割出願に関する問題が提起された。具体的には次の通り:
① 一件の原出願(親出願)に続く複数の分割出願で構成される一連の出願において各出願が先行する出願から分割されている場合に、必要且つ充分な条件は、分割出願が EPC76条.第 2文の規定に従うことであるのか。すなわち、そのような分割出願に開示される事項が、それぞれに対して先行する出願の出願時に開示されていた内容から、直接的、一義的に、且つ独立して導き出せることが要求されるのか。
② 上述の条件だけでは不十分であるなら、前記文言は次の<a>または<b>の追加要件を課すのか。
<a> そのような分割出願のクレームの主題が、先行する複数件の出願のクレームの主題中に存在していなければならない。
<b> そのような分割出願に先行する複数件の出願の全てが、EPC76条.の規定に従わなければならない。

T1040/ 04で提起された問題は T39/ 03と類似するが、異議申立の手続中で、分割出願に係る特許の許可後の補正(訂正)によって EPC76条.違反を治癒することが可能か、というものである。すなわち、その特許に係る分割出願の実際の出願時に親出願の開示を超える新規事項を含んでいたために EPC76条.の要件に違反していた場合、EPC100条.の異議理由を解消するために訂正を行って前記要件を充足させることが可能か、という問題である。

執筆者

特許部化学班パートナー 弁理士

中濱 明子 なかはま あきこ

[業務分野]

特許

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