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プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する当面の審査・審判の取扱いについて

国内特許情報委員会

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平成27年7月6日、特許庁は、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(以下「PBPクレーム」という。)に関する最高裁判決(平成24年(受)第1204号、同2658号)を受けて、当面の審査・審判におけるPBPクレームの取扱いを発表した。

同判決は、PBPクレームについて、出願時において当該物をその構造または特性により直接特定することが不可能である等の事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するときに限って明確性要件に適合し、それ以外の場合には、明確性要件に違反すると述べている(新井規之弁理士の記事「プロダクトバイプロセスクレームに関する最高裁判決」参照)。本取扱いは、同判決の趣旨に従って当面の審査・審判におけるPBPクレームの判断手順を示すものである。

1.当面の審査におけるPBPクレームの取扱い

審査においては、以下の手順で判断される。
(1) 物の発明に係る請求項がPBPクレーム、すなわち「その物の製造方法が記載されている場合」に該当するかを判断する。判断にあたっては、当該分野の技術常識も考慮される。
(2) PBPクレームに該当すると判断した場合には、「不可能・非実際的事情」が存在するかを判断する。当該事情の具体例としては、(i) 出願時において物の構造又は特性を解析することが技術的に不可能であった場合、(ii) 構造又は特性の特定に著しく過大な経済的支出や時間を要する場合、が挙げられている。この判断についても、同様に当該分野の技術常識が考慮される。また、判断は出願人による主張・立証の内容に基づいて行われる。
(3) 「不可能・非実際的事情」が存在すると判断されれば、明確性要件を満たすものと判断される。一方、当該事情の存在について主張・立証がないか、存在について審査官が合理的な疑問を持った場合には、明確性要件違反の拒絶理由を通知する。

2. 明確性要件違反の拒絶理由通知を受けた場合の対応

PBPクレームに関して上記明確性要件違反の拒絶理由通知を受けた場合、出願人は以下の対応を取ることができる。
(1) 該当する請求項の削除
(2) 該当する請求項に係る発明を、物を生産する方法の発明に補正する
(3) 該当する請求項に係る発明を、製造方法を含まない物の発明に補正する
(4) 「不可能・非実際的事情」の存在について意見書等により主張立証する

(2)の補正及び(3)の補正は、審査においては明瞭でない記載の釈明(特許法第17条の2第5項第4号)に該当するものとされるため、最後の拒絶理由通知に対する補正等であっても対応が可能である。

3.適用範囲

審判事件、特許異議申立事件等においても、上記判決及び取扱いの趣旨を参酌して審理がなされる。また、上記取扱いは、既に出願された特許出願の審査等、既に成立している特許に対する審判事件等にも適用される。

4.実務への影響

本取扱いは、製造に関する経時的な要素の記載を含む「ボルトを・・・係合するように挿入し・・・ナットを螺合してなる・・・機器」とのクレームをPBPクレームの具体例として示し、経時的な要素の記載を除いた表現(たとえば「ボルトが・・・挿入された・・・機器」)や、状態であることを示す表現を用いるように補正することで、拒絶理由が解消すると説明している。

既に特許を取得したPBPクレームに係る発明については、今回の取扱いでは十分な説明がされていないが、少なくとも「不可能・非実際的事情」については、審査時と同様に明確性要件を主張するための手段となると考えられる。

なお、特許庁では本年10月上旬頃を目途として審査基準・審査ハンドブックの改訂作業が進められており、改訂後は同ハンドブックに従って審査が行われる予定である。

執筆者

特許部

国内特許情報委員会

[業務分野]

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