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英国: 均等論の適用を否定する最高裁判決

山口 晶子弁理士

英国の上院は、2004年10月21日、Kirin-Amgen Inc. -v- Hoechst and Transkaryotic Therapies Inc. (TKT) のケースにおいて、エリスロポエチンに関するAmgen特許の侵害事件において、均等論の適用を否定して非侵害の判決を下した。

上記判決では、以下に説明するEPC第69条の議定書の改正により追加される第2条が考慮された上で均等論の適用が否定された点で注目すべきである。

EPC 第69条の議定書の改正
欧州特許は、EPCに基づいて付与されるが、付与後は欧州各国において特許の保護範囲が決定される。EPCには、保護範囲に関して、第69条において、「欧州特許又は欧州特許出願により付与される保護範囲は、その特許のクレームによって決定される。しかし、クレームの解釈においては当該特許の説明及び図面が用いられる」と規定されているだけであり、その内容を補完するため、議定書が制定されている。議定書の改正(未施行)において、「欧州特許に基づいて与えられる保護範囲を決定するため、当該クレームに明記されている要素と均等のいかなる要素についても、注意深い考慮が必要となる」と規定する新しい第2条が追加される。

議定書の改正第2条の解釈
上記判決において、議定書の改正第2条における「当該クレームに明記されている要素と均等」の要素とは、均等論の導入を意味しているわけではなく、当該クレームの文言の意味を決定する上で当業者に公知事実の背景技術について均等の要素を考慮することができるにすぎない、と判断された。

したがって、英国では、クレームの中で明示的に請求されていないものについては、裁判所は、均等的要素に基づく保護を認めないことが明らかとなった。

執筆者

特許部化学班パートナー 弁理士

山口 晶子 やまぐち あきこ

[業務分野]

特許

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