インドネシア: 特許法改正(2024年10月28日公布・施行)
地域:インドネシア
業務分野:特許
カテゴリー:法令
外国特許情報委員会
インドネシアの特許法が改正された。今回の改正はNo.65/2024と識別される。
施行規則がまだ発表されておらず、完全な施行や運用は少し先になる見込みである。公布日より前に提出された出願は、改正前の特許法によって処理される。
改正は多岐にわたるが、影響があると考えられる部分を紹介する。
1. 特許の対象
(1)発明の定義が変更され、システム、方法、用途も発明の保護対象となった(法1条(2))。
(2)既存の製品または化合物の「新規用途」および「新規形態」が特許対象ではないとする条項が削除された(法4条(f)削除)。 第2医薬用途も特許の対象となった。
(3)特許対象ではないとされているコンピュータプログラムであっても、「コンピュータ実装発明」は例外であることが明記された(法4条(d))。
2. 出願過程
(1)新規性喪失の例外期間の延長
新規性喪失の例外期間が公知日より6か月から12か月に延長された(法6条)。
(2)出願書類の変更
発明者による宣誓書(statement of ownership of the Invention)提出の必要がなくなった(法25条(2)g項削除)。
遺伝資源や伝統的知識が関係する発明については、出願人は遺伝資源および/または伝統的知識の陳述書の提出が義務付けられた(法26条)。詳細未定。
(3)クレーム数超過手数料
10を超えるクレーム数に対し、超過手数料が課せられるようになった(法24条(2A))。料金未定。
(4)方式審査の延期
旧法において2回(2か月と1か月)認められていた方式審査段階での期間の延長は、原則1回2か月のみ認められ、延期には書面による申請が必要となった。
災害などの非常時には、1回目の2か月の延期に加えて最長6か月の延期ができる(法35条(3)削除、(4)(5)(6)新設)。
(5)早期公開と早期審査
早期公開請求に基づく公開時期が出願より6か月後から3か月後に短縮された(法46条(3))。
早期審査制度が新設され、公開前に早期審査請求をすれば、早期に審査が開始される(法55A条新設)。
どちらも有料だが、料金未定。
(6)再審査請求制度新設
拒絶査定、特許の訂正、特許査定、取り下げ、みなし取下に対し、出願人またはその代理人は再審査請求を申請できるようになった。有料。
査定、特許訂正、みなし取下については査定日から9か月以内、取下については取下決定日から2か月以内に申請を提出する(法63A条新設)。
3. 特許取得後
(1)実施報告
毎年年末の特許の実施に関する報告が規定された。報告内容や提出方法については、未定である。(法20A条新設)
(2)ボラー(Bolar)条項の期間制限撤廃
特許発明を研究または試験目的で使用することを認めるボラー条項において、「特許が満了する前の5年間」とする期間制限が撤廃された(法167条)。
4. 回復措置・救済措置
(1) 優先期限徒過救済措置
優先期限の満了後4ヶ月以内に、回復要求提出と規定料金支払を条件に、12ヶ月の優先期限を過ぎた出願に対して優先権を回復させることができるようになった(法30条(5)新設)。
(2)取下げた出願の再出願
自発的に取下げた出願であっても、取下通知書発行日から6か月以内であれば、規定料金支払を条件に再出願できるようになった(法43条(2a)(2b)(2c)新設)。
5. その他
(1)年金の支払い方法変更(2018年から実施されている実務内容を法に反映)(法126条)。 支払い期限から6か月以内であれば、規定額の2倍を支払うことにより救済されるようになった(法126条(4)新設)。
(2)強制実施権についての規定追加(法81,82A,84A,103条)
執筆者
特許部
外国特許情報委員会
[業務分野]
特許
特許分野の他の法律情報
お電話でのお問合せ
03-3270-6641(代表)