カナダ: 特許期間調整(PTA)制度新設(2025年1月1日発効)
地域:カナダ
業務分野:特許
カテゴリー:法令
外国特許情報委員会
カナダにおいても、特許出願の審査の遅延を補償する特許期間調整(PTA: Patent Term Adjustment)制度(Patent Act: SOR/2024-241)ができ、関係する規則が制定された。
カナダ・米国・メキシコ協定 (CUSMA) において、PTA制度を設けることが義務となったため制度が新設された。 しかし、カナダの審査が比較的早いこと、また、「出願人に起因する遅延」とされる項目が下記のように出願人にとってとても厳しいことから、PTAの対象となる特許は非常に少ない見込みである。
1.対象となる特許
特許期間調整の対象になる特許は、以下の条件すべてを満たす場合である。
a.出願日(PCT出願の場合はカナダ国内移行日、分割出願の場合は提出日)から5年後と審査請求から3年後のいずれか遅いほうより後に付与(issue)された特許。
b.2020年12月1日以降に提出されたカナダ特許出願に基づく特許。(PCT出願の場合は国際出願日、分割出願の場合は最先の親の出願日が2020年12月1日以降)
c.特許権者が、特許付与日(issue date)から3か月以内に、手数料2,500カナダドル(小規模事業体の場合は1,000カナダドル)とともにPTA申請を行った特許。
2.延期期間の計算
延期となる日数=[(出願日(*1)から5年と審査請求から3年のどちらか遅いほう)から特許付与日までの日数]- [出願人に起因する遅延(*2)]
(*1) 出願日:PCT出願の場合はカナダ国内移行日、分割出願の場合は提出日
(*2) 「出願人に起因する遅延」は以下の項目を含む。 (Rule 117.03(1)、複数の項目が同じ日であれば、一回のみカウントする。)
(1)出願日から5年後が審査請求から3年後より遅いあるいは同じ場合、出願日から審査請求日までの日数
(2)出願人が最初のRCEを提出した日と3回目の審査官報告書発行日のどちらか早いほうから最終手数料(final fee)を支払うまでのすべての日数
(3)1回目、2回目の審査官報告書発行日から出願人のそれぞれの応答日までの日数
(4)許可通知書(Notice of Allowance)発行日から最終手数料を支払うまでの日数
3.利用上の注意
・適格特許が延期期間を受け取れることができる最も早い日付は、2025年12月2日である。
・PTAによる延期期間は、補充的保護証明書(CSP)による延期期間と同時に消費される。(両者別々に延期できるわけではない。)
・PTAによる延期の期間中も維持年金を支払う必要がある。
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