カナダ:特許規則改定(2022年10月3日施行)
地域:カナダ
業務分野:特許
カテゴリー:法令
カナダ特許庁は、CUSMA(Canada-US-Mexico Agreement:カナダ・米国・メキシコ協定)により課せられた義務に沿って、特許規則を改定する。2025年1月1日までに特許期間調整(PTA: Patent Term Adjustments)制度が導入されるが、PTA制度は、2020年12月1日以降の出願に適用される。それに伴い、出願の特許庁への係属期間を短縮するための規則として、次の3つが導入される。
(1) クレーム数の超過料金
(2) 拒絶理由通知回数制限と継続審査請求(RCE:Request for Continued Examination)
(3) 条件付許可通知(CNOA: Conditional Notice of Allowance)
改定規則は、施行日以降に審査請求された出願に適用される。クレーム数の超過料金やRCE手数料を回避されたい場合には、いずれの出願も施行日より前に審査請求を行うことをお勧めする。
1.クレーム数の超過料金
現在、カナダでは、クレーム数に依存する手数料は存在しない。
改定規則では、20を超えるクレーム毎に、超過料金(100カナダドル/クレーム(*1))が導入される。審査請求時に20を超えるクレーム数の超過料金を支払い、さらに最終手数料(Final Fee)支払い時に[審査中の最多クレーム数 ― 審査請求時のクレーム数か20の多い方]のクレーム数の追加超過料金を支払う。
多数項従属クレーム(マルチ従属クレーム)、マルチマルチ従属クレーム、選択肢を含むクレーム(マーカッシュクレーム)については、料金計算上は1クレームとして数えられるので、活用を検討されたい。
(*1)中小企業については、料金割引制度あり。
2.拒絶理由通知回数制限とRCE
現在、特許庁が発行する拒絶理由通知の回数に制限はない。
改定規則では、拒絶理由通知の発行回数が制限される。審査請求後、3回目の拒絶理由通知の後にさらに権利化を続行したい場合には、RCEを行う必要がある。RCEに対する手数料は816カナダドル(*2)である。RCEにより、追加的に2回までの拒絶理由通知を受け取ることができる。さらに2回目のRCEを行うこともできる。この拒絶理由通知には単一性違反のみのレポートも含まれる。
特許査定(Notice of Allowance)後に実質的な補正を行う場合には、現在の特許査定取り下げ申請に代わって、RCEが必要となる。
カナダでは、最終拒絶(Final Action)後の出願人の応答内容により、審査官が出願を審判部に送付するか否かを決定するため、「審判請求」という手続きが無い。したがって、米国での手続きとは異なり、出願人がRCEの代わりに「審判請求」を選択することはできない。
(*2)中小企業については、料金割引制度あり。
3.条件付き許可通知(CNOA)
軽微な欠陥を指摘し、その欠陥修正を条件として出願を許可する、条件付き許可通知が導入される。出願人は4か月以内に欠陥を修正し最終手数料(Final Fee)を支払いことにより、特許付与される。
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