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マレーシア:特許法・規則改正(2022年3月18日施行)

外国特許情報委員会

マレーシア特許法および施行規則が、改正され施行された。TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面),RCEP協定(東アジア地域包括的経済連携),CPTPP協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)を考慮しての改正である。優先権の回復等新しい規定が設けられ、実体審査請求の延期が不可になる等規定の改正が行われた。法改正がなされたものの付随する規則が整わず、施行が延期された項目もある。

また、施行日以降、新しい委任状(Power of Attorney)が必要となり、マレーシア知的財産公社(MyIPO)の手数料が大幅値上げされた。

主な改正項目を紹介する。

1.新しい規定

(1)優先権の回復(法27(1B)条、規則23A)

優先権の失効が「意図的でなかった」場合には、優先権の回復が可能となった。優先権回復申請ができる期間は以下のとおり。

(a)PCT出願以外の出願の場合、優先権失効日から2か月以内

(b)PCT出願であり国際出願日が優先権失効日から2か月以内の場合、優先日から30か月の期限満了から1か月以内または早期移行・審査請求から1か月以内

(2)配列表(法28条、規則12A)

明細書が配列を含む場合、配列表の提出が必須となり、配列表フォーマットについての規定が定められた。出願明細書から配列表が欠落していると、提出しても出願日として認められない。

(3)出願公開(法33D条、規則27F)

PCT以外の出願は、出願日/優先日から18か月後に官報(Official Journal)に公開されるようになった。(改正前は、閲覧可能であったが、刊行物に公開されていなかった。)施行日以降に出願日/優先日から18か月を迎える出願に適用される。

(4)第三者による情報提供制度(third party observation)(法34A条、規則28A)

何人も、特許出願の新規性/進歩性に関係する事項について庁に情報提供できる。ただし、時間的な制約があり、PCT出願についてはマレーシア国内移行日から3か月以内、その他の出願についてはマレーシアでの公開日から3か月以内に情報提供ができる。

(5)担保権としての特許(法36(1)(d),規則34A)

特許を担保権の対象にできるようになった。施行日以降、効力のある特許に適用される。

2.規定の変更

(1)実体審査請求(法17条、規則27)

・改正前は、審査請求時に対応外国出願の審査結果等を提出しなければならなかったが、改正後は、それらの提出が任意になった(規則27)。

・(修正実体審査ではない)通常の実体審査請求の延期は不可となった。修正実体審査については、対応外国出願審査結果待ちの場合のみ延期が認められ、その延期にも手数料が課せられるようになった(規則27B)。

(2)実体審査(拒絶理由)への応答(規則7C,27D)

実体審査および修正実体審査のレポートに対して、出願人は3か月以内に応答すれば良くなった。(改正前は、2か月以内であった。)

(3)分割出願の提出延期不可(法26B(1B)、規則19A)

分割出願の提出の延期は、不可となった。分割出願は、単一性違反のレポート郵送日から3か月以内、または、実体審査・修正実体審査の第一レポートの郵送日から3か月以内に提出されなければならない。施行日以降に、審査官から単一性違反のレポートが発行された場合、実体審査・修正実体審査の第一レポートが発行された場合に適用される。

(4)失効した特許の回復期間の短縮(法35(A)(1))

失効した特許の回復期間が、特許失効の通知が官報に公開されてから2年から12か月に短縮された。施行日以降に、官報に失効通知が公開された特許が適用対象となる。

(5)特許付与後の補正(法79A(1A)、規則46A)

特許付与後の補正には、登録官から再審査請求を行うことを要求される。再審査請求は、登録官の要求から3か月以内に行う。施行日より前に補正を請求し、請求が施行日に登録官の下に係属している特許にも適用される。

3.施行延期項目(改正特許法に含まれているが、施行が延期された項目)

(1)ブダペスト条約(特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関する条約)に関する規定(法26C条、780(1A)項)

(2)出願関連情報(サーチ・審査レポート、出願人‐庁間の通信、引用文献)の公衆閲覧(法34(1)(f),(g),(h))

(3)付与後異議(法55A,56A、57(1)、79A(3)条)

4.手数料・更新料についての変更

(1)クレーム超過料金の導入

クレーム数が10を超えると、クレーム毎に超過料金が発生する(出願時・PCT出願の国内移行時)。

(2)更新料

更新料の最長5年間の一括払いが可能になった。

5.経過措置

新法・新規則の適用は、原則として次のとおりである。

・出願・特許に関係する施行日より前になされた申請は、改正前の法・規則によって処理される。

・施行日より前に発行されたレポートや決定については、改正前の法・規則が引き続き有効である。

執筆者

特許部

外国特許情報委員会

[業務分野]

特許

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