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フランス: 特許付与後の異議申立(Opposition)制度の新設(2020年2月12日)

外国特許情報委員会

2020年2月12日に特許付与後異議申立て制度の新設に関するOrder 2020-116が発令されたが、制度の詳細が、Decree No.2020-225として2020年3月6日に発表された。EPOの異議手続きと似ているが、異なるのは、第1審は、フランス特許庁(INPI)で扱われ、第2審は、パリ上訴裁判所(Paris Court of Appeal)で扱われることである。

1.フランス特許付与後9か月以内に、異議申立人がフランス特許庁に対して特許の有効性に対して異議を申し立てることができる。実用新案や補充的保護証明書(SPC)は異議申し立ての対象にならない。

2.異議手続きはいくつかのフェーズに分けられる(Decree No.2020-225, March 6,2020)。
(1)受け入れフェーズ:
フランス特許庁によって、異議申し立てが受け入れ可能かどうかが審査される(2か月以内)。
(2)審査フェーズ:
さらに以下のサブフェーズを含む(11か月以内)。
(2-1)調査サブフェーズ:
特許庁は特許権者に異議を受けたことを通知し、特許権者は異議に対して意見(observations)提出やクレームの補正提案ができる(概ね3か月)。
(2-2)特許庁の意見(opinion)表明サブフェーズ:
特許庁が手続き中に両当事者から提出された異議理由と反論に対する予備的意見をだす(3か月間)。
(2-3)書面交換サブフェーズ:
異議手続きに係る両当事者が書面にした意見(observations)を交換し、特許権者は更に補正したクレームを提案できる。
(2-4)最終交換サブフェーズ(口頭審理を含む):
異議手続きに係る両当事者は、特許庁において口頭で議論できる。
(3)決定フェーズ:
審査手続きの終了後、フランス特許庁長官による決定まで、4か月以内。

3. フランス特許庁における異議手続きは、本質的にEPOの異議手続きと同様の条件でおこなわれ、特許権者は、異議申立人による異なる異議理由に対応するために、予備的請求(auxiliary requests:異なる予備的代替案を補正クレームとともに提示する)することが許される。

特許庁長官が審査期間の終了から4か月のタイムリミット内に決定を下すことができない場合には、「沈黙は拒絶」というフランスの一般的な原則が採用され、異議は却下されたものとみなされる。特許庁はこのような事態を避けるために、適用される時間制限内に異議の決定を行いたいとしている。

手続きの最後に、特許庁長官は、異議を拒絶する、あるいは係争中の特許を完全にあるいは部分的に無効にすることができる。部分的無効の場合は、特許権者は部分的無効決定に特許を一致させなければならない。

4.フランス特許庁の決定に対して不服の場合には、パリ上訴裁判所での審判へ進むことができる。一般的に法的手続き規則が適用され、両当事者は法廷弁護士を代理人とする必要がある。

第2審では、手続きはより複雑であり、審判における書面の提出には義務的な時間制限があり、両当事者は特許庁に対し、受領確認付き書留により提出書類を提示する必要がある。

EPOの異議手続きと他の異なる点としては、異議申立人は、第1審の特許庁での手続き後の審判において、特許を無効にするための新しい証拠(反論や議論の法的根拠)を持ち込むことができ、新たな先行文献なども提示できることである。

執筆者

特許部

外国特許情報委員会

[業務分野]

特許

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