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カナダ: 特許法および規則の改正(2019年10月30日施行)

外国特許情報委員会

特許法および規則の改正が2019年10月30日から施行された。今回の改正は、主に特許法条約(PLT)批准に基づくものである。

1. PCT出願の国内移行期限

PCT出願のカナダ国内への移行期限は優先日から30か月であるが、この国内移行期限までに移行しなかった場合の回復手続きに要件が追加された。

カナダへの国内移行期限は、回復料金(reinstatement fee)を支払うことにより、優先日から42か月まで延期できるが、PCT出願日が2019年10月30日以降の場合には、従来の回復料金に加え、回復の申請および「優先日から30か月以内に国内移行をしなかったのは意図的ではなかった」という陳述書(statement)が必要となる。

2. 優先権証明書の提出

2019年10月30日以降に出願されるNon-PCT出願に関しては、優先権基礎出願の出願日から16か月以内に、優先権証明書(certified copy)を提出することが要求される。PCT出願に関しては、PCT規則17.1にしたがって、国際段階で優先権証明書を提出しているか、またはWIPOのデジタルアクセスサービス(DAS)で、入手可能になっていれば、国内段階で要求されることはない。

3. 優先権の回復

以下のいずれかの場合、遅延が「意図的でなかった」ことを示せば、優先権の回復が可能である。

PCT出願の場合
ⅰ)優先権が2019年10月30日以降国際段階で回復している、または
ⅱ)優先権回復の請求が国内移行の日から1か月以内になされている。

Non-PCT出願の場合 2019年10月30日以降のカナダ出願については、優先権基礎出願の出願日から14か月(12か月+2か月)以内に出願され、同期間内に優先権回復の請求がなされている。

4. 審査請求期限

出願日(PCT出願の場合は国際出願日)が2019年10月30日以降の出願については、審査請求期限が当該出願日から5年が4年に短縮される(新規則第81(1)(a)条)。親出願の出願日が2019年10月30日以降の出願については、分割出願の審査請求期限は、親出願の出願日から4年または分割出願の提出日から3か月のいずれか遅い日である(新規則第81(1)(b)条)。

5.審査請求期限の徒過の場合の通知

出願日によらず、審査請求期限が2019年10月30日以降の出願について、期限を徒過した場合、庁より新たな期限を設定した通知が発行されることが新たに規定された(新特許法第35(3)条と第35(4)条)。通知日から2か月以内に、審査請求及び審査請求料に加えて遅滞料(late fee)を支払うことが要求される。この通知に応答しない場合、出願は放棄されたものと見なされる。

6. 審査官要求応答期限

2019年10月30日以降に発行される審査官要求書(examiner requisition、例えば、指令書)に対しては、応答期限が審査官要求書の発行日の6か月(延期不可)から4か月へ短縮される(新規則第86(2)条)。この期限は2か月延長が可能である。

7. 許可通知の応答期限

2019年10月30日以降に発行される許可通知に対しては、許可通知の応答期限が許可通知の発行日の6か月から4か月へ短縮される(新規則第86(1)条)。したがって、許可通知の発行日の4か月以内に登録料(final fee)を支払わなければならない。

8. 許可通知後の手続き再開

2019年10月30日以降に発行される許可通知に対しては、許可通知の発行後に手続きを再開(例えば、更なる補正や、審査のために)するための新たな制度が設けられた。

この制度の請求は、登録料(final fee)の支払い前に、再開請求料を支払って、許可通知の取り下げを要求することによってすることができる。

9. 維持料金支払い期限

2019年10月30日以降に維持料金の支払い期限を有する出願または特許について、支払い期限を徒過した場合、新しい期限を設定した通知(notice)が送付される。当該支払い期限から6か月または上記通知の発行日から2か月のいずれか遅いときまでに、維持料金と遅滞料(late fee)の支払いが要求される(新特許法第27.1(2)(b)条)。この期限内に手続きしない場合には、出願は放棄されたものとみなされるかまたは特許が期限切れになる。

10. 権利の回復手続き

出願または特許の維持料金の納付、審査請求等の手続きを行わないことによって、出願が放棄または特許期限切れになっても、所定の条件を満たす手続きを行うことで、出願または特許の回復が可能であったが、その要件が従来よりも厳しくなった。

手続きをおこなうことができなかった理由とその徒過が然るべき注意(due care)を払っていたにも拘わらず起きてしまった理由を記載した見解書ともに回復を請求することが必要になった(新特許法第73(3)条)。

執筆者

特許部

外国特許情報委員会

[業務分野]

特許

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