台湾: 専利法の改正(2019年11月1日施行)
地域:台湾
業務分野:特許
カテゴリー:法令
主な改正点は、特許、実用新案について分割出願の時期的要件の緩和、無効審判における理由・証拠の提出期間、無効審判中の訂正請求の期間、および実用新案の訂正の時期的制限、訂正の実質審査の採用、意匠権の権利期間の延長である。
改正法の適用対象
・施行日前に、査定がされていない特許、実用新案出願。ただし、施行日前に査定・処分がされている場合でも、査定・処分後3か月の期間が経過していない場合は、分割が可能である。すなわち、2019年8月1日以降に初審査・再審査で査定が下された出願の分割期限は、査定書送達から3か月である。
・施行日前に、審決が出されていない無効審判および訂正
・施行日前に、存続期間が満了していない意匠権
1. 分割出願
1.1 時期的要件の緩和(新法第34条第2項、新法第107条)
特許
・改正前、特許査定後の分割は、初審査の特許査定書の送達から30日以内のみ可能であり、再審査での特許査定後の分割はできなかった。
改正により、再審査での特許査定後も分割出願ができるようになり、初審査、再審査のいずれも特許査定後の分割の時期は、特許査定書の送達から3か月以内になった。
実用新案
・登録査定後は分割ができなかったが、登録査定書の送達から3か月以内は分割できるようになった。
1.2 内容的要件の追加(新法第34条第6項および第7項)
・特許査定後の分割出願は、元の出願の明細書または図面に開示された発明であって、かつ特許査定となった請求項に係る発明と同一であってはならない。これに反した場合は、拒絶や無効の理由となる。
・特許査定がされた元の出願の明細書、特許請求の範囲、または図面を変更してはならない。
2. 無効審判
審判請求人と権利者との間で、無効理由・証拠の継続的提出、それに対する訂正により審理が遅延しており、これを防ぐため無効理由・証拠の提出期限及び訂正請求の時期が変更された。
2.1 無効理由・証拠の提出期限
・改正前は、新たな無効理由・証拠は、審決前に提出されたものは原則参酌されていたが、改正により審判請求後3か月以内に限定され、(新法第73条)、期間後は参酌されない。
・特許庁からの通知に対する応答の期限は1か月と明文化された(新法第74条第4項)。
2.2 訂正請求の制限
改正前は、訂正請求の時期の限定がなかったが、下記に限定列挙された期間のみ訂正請求ができる(新法第74条第3項)。ただし、特許権が訴訟に係属している間は、この制限を受けない。
・答弁通知の期間内
・補充答弁の期間内
・訂正請求を認めない旨の通知で指定された期間内
3. 実用新案の訂正
実用新案では実体審査がなされないので、権利範囲の変更によって第三者の権利が影響されることがある。これを防ぐため、訂正の時期を限定するとともに、訂正の審理をすべて実体審理とした。
3.1 訂正の時期的要件
訂正できる期間が新たに限定列挙された(新法第118条)。
・実用新案技術評価報告作成請求が受理されている間
・実用新案権が訴訟に係属している間
・無効審判に係属している間
3.2 訂正の審理
改正前は原則方式審理であったが、すべて実体審理となる。
4. 意匠権の存続期間(新法第135条)
意匠権の存続期間が出願日から12年から15年に延長された。
執筆者
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