シンガポール出願・特許に基づくカンボジアでの権利取得について
地域:シンガポール
業務分野:特許
カテゴリー:法令
杉浦 彩弁理士、外国特許情報委員会
1.カンボジアにおけるシンガポール特許の再登録(Re-registration)
2015年9月2日、シンガポール特許庁(IPOS)とカンボジア工業・手工芸省(MIH)との間で締結された覚書により、カンボジアにおいてシンガポール特許に基づく再登録申請を行うことができる旨が公表された。
この再登録申請により、シンガポール特許の権利者は、カンボジアにおいても特許権を取得することが可能となる。申請の要件は以下のとおり。
(1)申請できる者
シンガポール特許の特許権者
(2)対象
有効なシンガポール特許
(3)申請できる時期
特許権の存続期間中 ※出願段階では申請できない。 ※存続期間満了後や年金未納等により特許権が消滅した後も申請は不可。
(4)申請手続
カンボジア工業・手工芸省(MIH)に、以下の書類を提出&所定の手数料を納付する必要がある。
・カンボジアへの願書
・追加情報シート
・シンガポール特許の特許証の謄本
・最終明細書の謄本
・シンガポールのform PF8の謄本(出願人が発明者でない場合)
・カンボジアにおける委任状
・特許庁の手数料(出願料:US$60、登録料:US$150)
カンボジア工業・手工芸省(MIH)により上記全ての書類が適切であるとみなされると、カンボジア特許の特許証が発行される。
なお、カンボジア特許を維持するためには、特許権者はカンボジア特許の出願日に基づいて計算した年金を翌年から納付する必要がある。
2.シンガポール出願に基づくカンボジア出願の特許付与手続の促進
(1)シンガポール特許庁への申請
対応するカンボジア出願を有するシンガポール出願の出願人は、手続を促進するために、以下の書類をカンボジア工業・手工芸省(MIH)に送付するようシンガポール特許庁(IPOS)に申請することができる
・シンガポール特許庁により発行された最終の調査および審査報告書
・シンガポール特許出願の最終的な明細書のコピー
(2)カンボジア工業・手工芸省(MIH)への申請
出願人は、上記(1)の申請と併せて、カンボジア出願の明細書をシンガポール出願の最終的な明細書に合わせて補正することにより、特許査定を早めるようにカンボジア工業・手工芸省(MIH)申請すること可能である。
なお、本申請に関する特許庁の手数料は不要である。
<参考サイト>
Patent Cooperation with Cambodia
執筆者
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