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EPO: EPC2000の発効

松山 美奈子弁理士

2000年に修正されたヨーロッパ特許条約(EPC2000)が2007年中に発効になる見通しである。

1. 出願の言語 
現在は、出願の言語は英語、ドイツ語、フランス語の3カ国語に限定されているが、EPC2000発効後には、出願日から1月以内(Rule 6(1))に翻訳文を提出することを条件としていかなる言語でも出願できるようになる。1月以内に翻訳文が提出されなかった場合には2ヶ月以内に提出することを求める指令が出される。翻訳文が提出されなかった場合には出願を取り下げたものとみなされる。EP出願の明細書及び特許請求の範囲は出願時の言語に基づいて定められ、誤訳の訂正が可能となる(Article 14(2))。

2. 優先権 
優先権主張手続が緩和される。優先権主張はdeclaration of priority(基礎出願日及び出願国)及び規則に定められた書類を提出することによって行う(Article 88, Rule 38(1))。declaration of priorityは、出願時に提出することが好ましいが、最先の優先日から16ヶ月以内であれば提出又は修正が可能となる(Rule 38(2))。

パリ条約締約国ではないがWTO加盟国における出願に基づく優先権主張が認められるようになる(Article 87(1)(b))。

優先権書類の翻訳文提出は義務ではなくなり、優先権の有効性が特許性の審査に関係する場合(出願中か特許後かを問わず)に、優先権書類の翻訳あるいはEP出願が基礎出願の完全な翻訳である旨のdeclarationの提出が求められるようになる(Article 88(1), Rule 38a)。本規定はEPC2000発効後の出願に適用される。

3. 医薬品の記載(Swissタイプクレーム) 
現在は、公知の医薬品の新たな用途については二次用途(Swissタイプクレーム: Use of X in)として規定することが要求されているが、EPC2000発効後には、特定用途を規定(X for use in)すればよくなる(Article 54(5))。本規定は、EPC2000発効時に係属中の出願に適用される。

4. 未公開先願(日本特許法29条の2に類する規定) 
現在は、日本法でのいわゆる拡大先願(日本特許法29条の2)の地位に類似する規定は、先の出願と審査対象出願とが同一の国を指定している場合にのみ適用されているが、EPC2000では審査対象出願の全指定国について適用されるようになる(Article 54(3))。この規定はEPC2000発効後の出願について適用される。

5. 特許付与後補正(訂正) 
現在は特許付与後の訂正は各国段階でのみ認められているが、EPC2000はEPOにおける特許付与後訂正のための新しい手続を導入する。

特許権者は特許取消(revoke)またはクレーム減縮(limitation)をEPOに請求することができるようになる(Article 105a(1))。この請求はoppositionが係属中には請求できない(Article 105a(2), Rule 63e)。limitationは、(1)特許又は維持される請求項の限定か(Article 123(3)により特許後に、特許範囲を拡大する訂正は禁止されている)、(2)訂正された請求項が明瞭か(Article 84)、(3)訂正事項が出願時の内容を逸脱する主題を加えていないか(Article 123(2))、について審査される(Rule 63g(2))。訂正の理由は不要である。

limitationの請求が認められると、limitationの効果は特許が付与されている全指定国に及び(Article 105b)、他の2種の公式言語への翻訳が必要になり、公開される(Rule 63g(3),Rule 63h)。各国は訂正された特許の翻訳を要求することができる。

6. Article 121(Further processing) 
現在は、EPOにより指定された期間内に応答できずに失効した出願についてはその地位を回復することが認められているが、EPO2000発効後には、特定の期限(12ヶ月の優先権主張期間、審判請求、非公式言語による出願の翻訳文の提出、更新料納付のための6ヶ月の猶予期間、優先権の追加又は修正のための16ヶ月の期間、方式審査での欠陥を補充するための期間など)を除くいかなる期限(手数料の支払い、優先権書類の翻訳文提出など)についても、回復が認められるようになる。

執筆者

特許部化学班 サブチーフパートナー 弁理士

松山 美奈子 まつやま みなこ

[業務分野]

特許

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