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日 本:分割・補正等の審査基準改訂

松山 美奈子弁理士

特許法の改正(平成 18年法律第 55号)に伴い、審査基準が改定された。

第Ⅲ部第Ⅱ節「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」、第 V部第 2節「第 50条の 2の通知」については、平成 19年 4月 1日以降に出願されるものに適用し、第Ⅰ部第 2章「発明の単一性の要件」、第Ⅴ部第 1節「出願の分割の要件」、第Ⅷ部「外国語書面出願」、第Ⅸ部「審査の進め方」については、平成 19年 4月 1日以降の審査に適用される。

ただし、「出願の分割の要件」の特許査定後又は拒絶査定後(拒絶査定不服審判請求後を除く)の出願の分割に係る部分、「外国語書面出願」の翻訳文の提出期限の延長に係る部分、並びに、「審査の進め方」の第 50条の 2の通知、及び、発明の特別な技術的特徴を変更する補正に係る部分については、平成 19年 4月 1日以降に出願されるものに適用される。

法改正及び審査基準改訂の概要は以下の通り。

1.出願の分割
①特許査定謄本送達及び拒絶査定謄本送達の日から 30日以内にも分割出願をすることができることに
なった(特許法第 44条第 1項第 2号及び第 3号)。

②分割の実体的要件、
1)原出願の出願当初の明細書等の記載事項の範囲内であること、
2)原出願の分割直前の明細書等の記載事項の範囲内であること
3)原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部を分割出願に係る発明としたものでないこと

③分割出願と同時に、分割の実体的要件を満たしている旨の説明資料を提出する。具体的には、原出願の分割直前の明細書等からの変更箇所の明示、変更内容の根拠(出願当初の明細書等における記載箇所)の明示、原出願の分割直前の特許請求の範囲との対比説明を記載する。

2.第 50条の 2の通知
①分割出願により同日出願となった他の出願についての拒絶理由通知と同一の理由で拒絶する場合には拒絶理由通知(特許法第 50条)において、その旨を通知することになった(特許法第 50条の2)。
②審査対象の発明が、既に通知済みの拒絶理由を解消していない場合に通知される。

3.発明の単一性の要件
特許請求の範囲に最初に記載された発明(たとえば請求項1)が特別な技術的特徴を有しない場合、最初に記載された発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの請求項に係る発明のうち、最も小さい番号の請求項(たとえば請求項2)に係る発明について特別な技術的特徴の有無を判断する。請求項 2も特別な技術的特徴を有しない場合には、請求項 2の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの請求項に係る発明のうち、最も小さい番号の請求項(たとえば請求項3)について特別な技術的特徴の有無を判断する。特別な技術的特徴を有する発明が発見されるまで、この手順を繰り返し行い、審査対象を特定する。

4.発明の特別な技術的特徴を変更する補正
①補正の制限に、いわゆるシフト補正の禁止が追加された(特許法第 17条の 2第 4項)。
②発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かの判断は、補正前に新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われた発明と補正後の発明とが、全体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより行う。
③特別な技術的特徴が変更された発明については、第17条の2第4項違反の拒絶理由を通知する。

5.外国語書面出願
翻訳文提出期限が特許出願日から 1年 2月に変更された(特許法第 36条の 2第 2項)。

執筆者

特許部共同代表パートナー 特許部化学班サブチーフパートナー 弁理士

松山 美奈子 まつやま みなこ

[業務分野]

特許

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