韓国特許法改正(2016年6月30日施行)
地域:韓国
業務分野:特許
カテゴリー:法令
特許権侵害および損害賠償額の立証に対する特許権者の負担の緩和、ならびに審判請求料および特許料の返還等を骨子とする特許法の改正があった。
1. 特許料等の返還範囲の拡大(改正特許法84条1項6号から11号)
1.1 以下の返還対象が追加された。
・放棄された年度の翌年度分以降で先に支払われていた特許料。
・拒絶査定が取り消された場合、当該拒絶査定に対する審判請求料(再審により取り消された場合は再審請求料)。
・拒絶査定に対する審判請求を審理終結通知前に取り下げた場合、審判請求料(再審の場合は再審請求料)の半額。
・当事者参加の申請が拒否、あるいは審理(再審手続きを含む)終結通知前に当該申請を取り下げた場合、参加申請料の半額。
・方式不備で審判請求が却下され、当該却下が確定した場合、審判請求料(再審手続きを含む)の半額。
1.2 この改正は、2016年6月30日以降に放棄、審判請求、取り下げ、参加申請拒否あるいは取り下げ、ならびに却下決定確定されたものに適用される。
2. 損害賠償額算定のための鑑定人への説明の義務化(改正特許法128条の2)
2.1 裁判所が損害賠償額算定に関して鑑定を命じた場合、証拠を提出した当事者は、提出した証拠の内容について鑑定人に必要な説明をしなければならない。
2.2 この改正は、2016年6月30日以降に提訴された特許権侵害訴訟に適用される。
3. 特許権侵害訴訟における証拠提出命令対象の拡大(改正特許法132条1項および3項)
3.1 侵害の証明や賠償額の算定に必要と認められれば、営業秘密ということで証拠の提出命令を拒むことはできなくなる。ただし、裁判所は、証拠閲覧の範囲や証拠にアクセスできる人物を制限することができる。
3.2 提出が求められる証拠が「文書(documents)」から「すべての資料(any materials)」に拡大された。「すべての資料(any materials)」にはディジタル資料も含まれる。
3.3 この改正は、2016年6月30日以降に提訴された特許権侵害訴訟に適用される。
4. 証拠提出命令に応じない場合の措置(改正特許法132条4項および5項)
4.1 正当な理由なしに証拠提出命令に従わない場合は、資料の記載に関する相手方の主張を真実なものと裁判所は認定することができる。
4.2 証拠提出命令に従わないために、当事者が他の証拠で立証するのが著しく困難な場合、当該資料により証明できるとの当事者の主張は真実と裁判所は認めることができる。
4.3 この改正は、2016年6月30日以降に提訴された特許権侵害訴訟に適用される。
執筆者
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