米国:自明性の判断(判決)
地域:米国
業務分野:特許
カテゴリー:判例
中田 尚志弁理士
Takeda Chem. Indus., Ltd. v. Alphapharm Pty., Ltd. (Fed. Cir. 2007)
KSR Int’l Co. v. Teleflex Inc.の最高裁判決後に、Federal Circuitにおいて判断された化合物発明の非自
明性に関する事件。
Federal Circuitは、構造的に類似した化合物の一応の自明性(prima facie obviousness)に関する case lawは確立されており、そして、その一応の自明性についてのテストは KSR事件で述べられた法律原理に合致するものであるとした。
ある新規化合物の一応の自明性を確立するためには、その化合物に至るように、既知化合物を特定の様式で改変するように化学者を導いたであろう理由を、先行技術において特定することが必要であるということに変わりはない、ということである。
Daiichi Sankyo Co. v. Apotex, Inc. (Fed. Cir. 2007)
耳疾患用局所製剤に関する特許につき、Federal Circuitは、当業者(one of ordinary skill in the art)の水準に関する地裁の認定を誤りであるとし、そして、新たに認定した当業者の水準に基づき、当該特許は先行技術より自明であると判断した。
地裁は、当該特許における当業者は、医学の学位、耳感染症の治療経験、及び薬理学と抗生物質の使用に関する知識を有する者であり、小児科医又は一般開業医(a pediatrician or general practitioner)が該当するとした。これに対し、Federal Circuitは、当該特許の発明者の発明時の職種及び明細書の薬理試験方法(動物実験)に関する記載、並びに、小児科医又は一般開業医の知識、等を考慮して、当該特許に対する当業者は、耳に関する医薬製剤及び治療方法の開発に従事する者、または、医薬製剤に関する教育を受けた耳科専門医(otologist)のような専門家、であると認定した。そして、当該特許は、このような当業者にとって先行技術より自明であると判断した。
執筆者
特許部化学班アソシエイト 弁理士
中田 尚志 なかた ひさし
[業務分野]
特許
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