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平成26年景品表示法改正(課徴金制度の導入)の概要

弁護士 神田 雄

 

1 はじめに

平成26年の第187回臨時国会において、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」が可決成立し、平成26年11月27日に公布された。改正後の不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)は、公布日から1年6か月を超えない範囲内で施行される。

本改正の主な内容は、景品表示法による不当表示の抑止力を高めることを目的とする課徴金納付命令の制度の導入である。本稿では、その制度の概要を紹介する。以下、条文番号は改正後の景品表示法の条文を示す。

 

2 課徴金納付命令の対象行為

課徴金納付命令の対象行為(以下「課徴金対象行為」という。)は、いわゆる優良誤認表示(5条1号)及び有利誤認表示(5条2号)である(8条1項)。

優良誤認表示については、いわゆる不実証広告規制が、課徴金納付命令においても次のように導入されている。すなわち、内閣総理大臣は、事業者がした表示が優良誤認表示かどうかを判断するために必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、当該事業者が当該資料を提出しないときは、課徴金納付命令との関係で優良誤認表示と推定される(8条3項)。

 

3 課徴金額の算定

課徴金額は、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に3%を乗じた額である(8条1項)。1万円未満の端数は切り捨てられる(12条2項)。これは、下記の5及び7による減額後の金額についても同様である。

課徴金対象期間とは、原則として、課徴金対象行為をした期間であるが、3年間を上限とする(8条2項)。

 

4 課徴金納付命令をすることができない場合

(1)主観的要素

事業者が、当該課徴金対象行為をした期間を通じて、その表示が不当表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠ったものでないと認められるときは、課徴金納付命令をすることができない(8条1項但書)。一般的には、表示をする際に必要とされる通常の商慣行に則った注意を行っていれば足りるとされる[1]。そして、かかる主観的要素の立証責任は、行政側が負うと説明されている[2]。もっとも、事実上の立証は事業者が行うことになるとも言われている[3]

(2)規模基準

課徴金額が150万円未満となる場合も、課徴金納付命令をすることができない(8条1項但書)。

(3)除斥期間

除斥期間として、課徴金対象行為をやめた日から5年を経過したときは、課徴金納付命令をすることができない(12条7項)。

 

5 課徴金額の減額

事業者が自らの不当表示を発見した場合に対処するインセンティブとして、事業者が、課徴金対象行為に該当する事実を、内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣に報告した場合、課徴金額が2分の1減額される仕組みも導入された(9条本文)。

ただし、その報告が、当該課徴金対象行為についての調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してされたものであるときは、課徴金額の減額はされない(9条但書)。

 

6 弁明の機会の付与

事業者への手続保障として、課徴金納付命令の前に、弁明の機会が付与される(13条)。

 

7 返金措置

本改正において特徴的な点は、事業者が一般消費者への返金措置を行った場合に課徴金を減額し又は課徴金の納付を命じない措置を設けたことである。被害回復の促進を目的とするという。

(1)概要

まず、事業者が返金措置に関する計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受ける(10条)。そして、認定を受けた返金措置を実施し、その実施を内閣総理大臣に報告すれば、課徴金額から返金額が減額される(11条2項)。当該減額の結果、課徴金額が1万円未満となる場合、課徴金納付命令がされない(11条3項)。

(2)返金措置の内容

返金措置の内容は、課徴金対象期間において当該商品又は役務の取引を行った一般消費者のうち申出をした者に対し、金銭の交付(現金の交付および銀行振込みの方法による支払いが含まれる[4]。)によって返金するというものである。返金額は、申出をした一般消費者の取引に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した購入額の3%以上とすることが必要である(10条1項)。

申出に基づき返金措置の対象となる一般消費者は、「当該商品又は役務の取引を行った一般消費者であって政令で定めるところにより特定されているもの」に限定されている(10条1項)。

 

8 経過措置

本稿で紹介した課徴金納付命令の制度は、改正後の景品表示法の施行日以後に行われた課徴金対象行為について適用される(附則2条)。

 

[1]松本博明ほか「改正景品表示法における課徴金制度の解説」NBL1043号21頁

[2]松本ほか・前掲注1、22頁

[3]黒田岳士ほか「対談 改正景品表示法の狙い-課徴金制度導入を中心に」11-12頁

[4]松本ほか・前掲注1、24頁

執筆者

法律部アソシエイト 弁護士

神田 雄 かんだ たけし

[業務分野]

企業法務 国際法務 知財一般 特許 意匠 商標

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