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日本: 特許法等の一部を改正する法律について

末松 亮太弁理士

1.特許法等の一部を改正する法律について

平成 23年 3月 11日に閣議決定された、「特許法等の一部を改正する法律案」が同年 5月 31日に可決・成立し、同年 6月 8日に法律第 63号として公布された。改正される特許法(以下、「改正特許法」という。)は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることとなる(改正特許法附則第 1条)。

この改正特許法は、技術の高度化や複雑化に伴い、社外の技術を活用して研究開発や製品化を行うオープン・イノベーションが進展するなど、イノベーションの在り方の変化に対応した制度の見直しを背景とするものである。

2.主な改正内容(経済産業省発表資料より)

(1)イノベーションのオープン化への対応
 (A)実施段階への対応

①ライセンスの保護強化(当然対抗制度の導入)
安定的な事業継続のため、実務上困難なライセンスの登録をしなくても、第三者からの差止請求等に対抗できることとする。

(B)研究開発段階への対応

①共同研究・共同開発の成果の適切な保護
研究開発の成果を適切に保護するため、共同発明者の一部によって特許権が取得されてしまった場合などに、発明者等が特許権を自らに返還請求できる制度を導入する。

(2) 技術革新の加速化とライフサイクルの短縮化への対応
 (A)紛争処理の迅速化等

①審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求の禁止
紛争処理の迅速化のため、出訴後に特許権の内容が変更されることにより、事件が無駄に裁判から審判に差し戻されることを防ぐ。
②再審の訴え等における主張の制限
安定的な事業活動のため、特許権侵害訴訟の判決確定後に特許の無効審決が確定した場合等の再審を制限し、紛争の蒸し返しを防ぐ。
③審決の確定の範囲等に係る規定の整備
権利内容の迅速な確定等のため、特許権の有効性の判断等を特許権の一部(請求項)ごとに行うための規定を整備する。

(B)紛争処理の適正化

紛争処理の適正化のため、確定審決の当事者等以外の者による同一事実・同一証拠に基づく無効審判請求を認める。

(3)ユーザーの利便性の向上
(A)料金の見直し

①特許料の減免制度の拡充
中小企業や大学等に対する特許料の減免期間を 3年から 10年へ延長するとともに、対象となる中小企業の範囲を拡大する。

(B)手続きの見直し

①発明の新規性の喪失の例外規定の見直し
学会での発表など、発明者等により公表された場合であれば、その公表態様を問わず、発明が公になった後でも特許権を取得し得ることとする。
②出願人・特許権者の救済手続の見直し
出願書類の翻訳文提出や特許料追納の期間徒過に対する救済要件を緩和する。

3.改正特許法施行に際する実務上の注意点

(「発明の新規性喪失の例外」規定(改正特許法第 30条)の適用に基づく実務運用を例に)
改正特許法施行に際し、今後、法律改正解説書をはじめとした特許庁からの各種詳細な情報開示が待たれるところである。

この点、平成 23年 8月 31日現在では、例えば「発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き(案)」(以下、「手引き(案)」という。)が公開され、意見募集がされている。

上記2.(3)(B)①に基づく改正特許法第 30条(発明の新規性喪失の例外)は、救済対象となる公開について、現行特許法第 30条における「学術団体・博覧会の指定制度」を廃止し、特許を受ける権利を有する者の行為に起因して公開された発明を一律に救済の対象となるようにするものである。

そして、当該「手引き(案)」は、まだ意見募集の段階にあるものの、このような発明の公開態様の拡大に伴う実務上の変更点が多く含まれており、実務担当者におかれては、現時点でご一読しておくことをお勧めする。

そこで、現行法における運用で用いられている「発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」(以下、「手引き」という。)からの変更点について以下に簡単に紹介する。

(1)「証明する書面」の考え方の見直し※

「証明する書面」の提出に係る運用について内容が変更されている。

具体的には、現行特許法の下では、「証明する書面」として「書面A」(一定の書式に則った出願人による証明書)及び「書面B」(書面 Aで記載した「公開の事実」に関する客観的証拠資料や第三者による証明書)が特許出願の日から30日以内に適正に提出される必要がある。

改正特許法により、この「証明する書面」の考え方について見直しが行われ、「一定の書式に則った出願人自らによる証明書」が適正に作成され、特許出願の日から 30日以内に提出されていれば、証明事項について一定の証明力があるものと認められるようになる。

※:尚、「手引き」公表後は、上記「証明する書面」の考え方を改正前の第 30条にも適用する旨が当該「手引き(案)」に記載されており、実務上特に注意が必要となる。

(2)発明が複数回公開された場合について

発明が複数回公開された場合の運用に係る内容が、新たに追加されている。

具体的には、(i)「権利者の行為に起因して公開された発明が複数存在する場合」には、原則として、それぞれの公開された発明について「証明する書面」を提出する必要がある旨(但し、例外あり)、及び(ii)二次的に公開された発明の取扱いとして、「権利者の行為に起因して公開された発明」について該適用を受けるための手続を行っていれば足りる旨、記載が追加されている。

(3) 分割出願/変更出願/実用新登録に基づく特許出願の場合について

現行特許法の下での運用では適用不可能であったものが、今後適用可能となる旨内容が修正されている。

具体的には、原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開の日から 6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録出願に基づく特許出願をして適正な手続を行えば、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができるようになる旨、記載が修正されている。

執筆者

特許部電気班アソシエイト 弁理士

末松 亮太 すえまつ りょうた

[業務分野]

特許

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